【神戸新聞杯回顧】ロブチェンが見せつけた貫録 「ハナ差」以上の快勝で三冠に弾み
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【神戸新聞杯回顧】ロブチェンが見せつけた貫録 「ハナ差」以上の快勝で三冠に弾み

2026/09/22 11:00
勝木淳
2026年神戸新聞杯、レース結果,ⒸSPAIA

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二冠馬ロブチェンの底力

二冠馬ロブチェンの始動戦でもあった神戸新聞杯は二冠馬がハナ差ながら勝利を飾り、2着アルトラムス、3着シートゥサミットで決着した。

この日、阪神競馬場の来場者数は大阪杯や宝塚記念に次いで多かったという。フリーパスの日だからというより、やはり二冠馬ロブチェンの登場が大きかった。京都で新馬戦を勝ってからは中山、東京、中山、東京と走ったため、関西圏の競馬場に姿を現すのは久々。関西のファンにとって、待ちに待った神戸新聞杯だった。

菊花賞の前哨戦は、ほぼスローペースになる。3000mを目指すにあたり、スピードで押し切るという作戦は考えにくい。スローのトライアルは序列をつけるのが難しく、買う側の評価がわかれる。菊花賞が面白いのは距離延長への対応だけでなく、実力差の見極めの難易度にある。個人的にはもっとも考えさせられるGⅠだ。

さて、今年の神戸新聞杯も例年通りのスローになった。スタート直後に仕掛けていく馬はおらず、各馬ポジションを譲りながら隊列をつくっていく。400~600mは13.0と遅く、その後も12.8とペースは上がらない。

1番枠に入ったロブチェンは中団馬群の内で揉まれる形になり、松山弘平騎手は少し位置を下げていった。スローで位置を下げるのは自信と信頼のあらわれ。下げることで馬群の外を目指していった。

そんなスローを嫌ったのが、2コーナーを8番手で回ったシートゥサミットだった。先頭をいくC.ルメール騎手とゴーラッキーのハナを叩き、レースを沸かせる。

といっても、酒井学騎手とシートゥサミットも不用意には飛ばさない。中盤で再びペースは緩み、ペースが上昇に転じたのは残り800mから。11.9-11.2-11.0-11.8と上がり勝負になった。

馬群の外に持ち出されたロブチェンは3、4コーナーも馬群の大外を通る。トライアルらしい安全策であり、これもまた鞍上の自信と信頼があるからこそ。4コーナーで好位にとりつき、直線で内の各馬をねじ伏せてみせた。

ロブチェンの特徴は地を這うような低いフォームと、併せたら負けないという勝負根性であり、関西圏のファンにその強みを見せつけるように走った。

最終的な着差はハナ差で、ダービーと同じくタイム差なしの際どい勝負だったが、それは実力差ではない。勝負所で外を通り、早めに動いて勝つ。派手さはないが、これがロブチェンの競馬だ。先行しても、差しても勝てる。展開に左右されない自在性は舞台も距離も選ばない。いよいよ三冠に王手をかけた。


完璧だったアルトラムス

2着アルトラムスはスタートから終始内に入りこみ、一発を狙っていた。スローペースで内が開かない可能性は高かったが、それでもいい。ロブチェンを逆転するにはこれしかない。腹を括った戦略だった。

そして、最後の直線では内にスペースがあった。完璧すぎるほど完璧な競馬で、内から抜け出した脚色は一瞬、ロブチェンを上回っていた。それでも負けた。ハナ差以上の敗北感があったのではないか。

3着シートゥサミットは向正面で外から進出し、ハナを奪う奇策が優先出走権内の3着という結果を呼んだ。このメンバー相手にスローペースで後方のまま進んでしまえば、上位進出の可能性は低い。酒井学騎手とシートゥサミットはそんな未来を覆そうと動いた。

鞍上には途中で動いても騎乗馬が再び落ち着いて走れるという確信があったのではないか。4走前からずっとコンビを組み続けており、手の内に入れていたからこその判断でもあった。テン乗りだとここまで大胆には動けない。


2026年神戸新聞杯、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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