【スプリンターズS】横綱競馬で1.9倍の支持に応えた名馬タイキシャトル 4連勝快進撃の1997年をプレイバック

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キョウエイマーチ、フラワーパークら相手に圧倒的支持
今週は中山競馬場でスプリンターズSが行われる。過去にはロードカナロアやグランアレグリアらが制したレース。今回はそんな中から1997年の一戦を振り返っていく。当時は12月開催で、有馬記念に向けて盛り上がる時期の施行であった。
1997年のスプリンターズSで単勝オッズ1.9倍の大本命となっていたのが、タイキシャトルだった。3歳馬のタイキシャトル(当時の表記は4歳)は、3連勝中と勢いに乗る存在。ダートで3戦全勝、芝でも4戦3勝、2着1回と圧倒的なスピードで無双してきた。
前走のマイルCSでは同世代の桜花賞馬キョウエイマーチに2馬身半差をつけGⅠ初制覇。芝のスプリント戦は初めてながら、これまでの内容からファンの信頼は厚く、1番人気に支持された。
2番人気は前走でタイキシャトルに敗れたキョウエイマーチで、単勝は4.8倍。こちらも様々な条件で活躍してきた。距離が長かったオークスは11着と大敗したものの、その後は2000mのローズS、秋華賞で1着→2着、マイルCSで2着。距離短縮で本領発揮と考えたファンは多かった。
1200mはダートで勝利しているものの、芝では初めて。ただし、1400mの報知杯4歳牝馬特別では7馬身差圧勝しており、世代屈指の快速ぶりは既に見せていた。
前年の覇者フラワーパークが3番人気の単勝9.4倍で続くが、人気は若き2頭に集中していた。しかし、伏兵評価の馬たちも豪華な顔ぶれ。芝ダート両方の1200m重賞を勝ったワシントンカラー、550キロの雄大な馬体を誇る2年前の覇者ヒシアケボノ、重賞4勝馬スギノハヤカゼらが名を連ねる他、海外からの実力馬も複数参戦していた。
先行して外から交わす、横綱競馬
スタートはややバラつき、前年の覇者フラワーパークもやや出遅れる。2番手から上がり最速で押し切った昨年とは変わり、中団からの追走となった。
先行争いは、8枠から良いスタートのキョウエイマーチが制するかに見えたが、内からホクトフィーバスが促されて並びかける。さらに芦毛の快速牝馬エイシンバーリンが勢いをつけ、先頭を奪った。大外枠のタイキシャトルは、その3頭を追って外を回る。
3頭が並んで逃げ、緩みない流れでレースが進む。2番手集団にはタイキシャトル、サクラスピードオー。それを睨む形で、ワシントンカラーやフラワーパークらが中団馬群を形成する。
後半に差し掛かると、先行集団と後方集団の間が徐々に開いていく。フラワーパークらが中団から仕掛けはじめ、外からはワシントンカラーが前のタイキシャトルを目がけて上がっていった。
最終コーナーでも、前の3頭がそのまま隊列を先導する。その外にタイキシャトル、さらに外へワシントンカラーが並ぶような形となる。いずれも手応えは十分で、こうなると、後方の馬はやや分が悪いように見えた。
そして直線、先頭のエイシンバーリンが勝負根性を見せるものの、タイキシャトルが抜群の反応で楽々と交わす。ワシントンカラーも良い脚で同馬に食らいつくが、ついていくこと叶わず。大外後方からは1頭、スギノハヤカゼが力強く前の馬を抜き去っていく。
だが、抜け出したタイキシャトルはまだまだ一杯になることなく突き進む。結局、最後はやや流すような形で、2着に1.3/4馬身差をつけてゴールした。
2着には追い込んだスギノハヤカゼが入り、さらに1.1/2差の3着には積極的に仕掛けたワシントンカラーが入った。そこから4着フラワーパークとは3馬身差がついており、タイキシャトルの強さが際立つレースとなった。
タイキシャトルは単勝190円、複勝120円と、圧倒的人気にきっちり応えた。一方、2番人気キョウエイマーチは11着、3番人気フラワーパークは4着に敗退。そのため、複勝はスギノハヤカゼの290円、ワシントンカラーの220円、馬連は1,130円というなかなかの好配当となった。
観客たちはタイキシャトルの圧倒的な強さに改めて驚かされ、感嘆とともに拍手を送った。
フリッカージャブが4連勝でGⅠ制覇なるか
タイキシャトルは翌年も快速ぶりを披露。欧州遠征では仏GⅠのジャック・ル・マロワ賞を制し、日本馬の海外への扉を開いた。引退翌年には顕彰馬に選出されるなど、マイル〜短距離馬の価値を高めた名馬だった。
種牡馬としてはメイショウボーラー、ウインクリューガー、レッドスパーダらを輩出。母父としてもダービー馬ワンアンドオンリーを送り出し、ストレイトガールやレーヌミノル、バビットなど「母父タイキシャトル」の活躍馬は多い。
一方、2番人気のキョウエイマーチも繁殖として成功した。母として皐月賞2着トライアンフマーチを、さらに孫世代からはBCディスタフを制した歴史的名牝マルシュロレーヌを送り出している。ほかにもマイルCS覇者ナミュール、アルテミスSを勝ったラヴェルなど活躍馬が続いており、これからさらに牝系を広げていくことであろう。
今年は、現在3連勝中のフリッカージャブがスプリンターズSに参戦する。ここを勝てば4連勝でのGⅠ制覇となり、かつてのタイキシャトルを思わせる快進撃だ。加えて、芝ダートを問わず勝ち星を挙げてきた点も、同馬と重なる。果たしてフリッカージャブは、ここからさらなる飛躍を遂げ、歴史へ名を刻んでいくのだろうか──。
《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、スノードラゴン、ドウデュース。
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